区の事業スキームの欠陥

保育園の建設費や運営費の大半が税金で賄われているにも拘らず、地域事情に合わせて定員を弾力的に変更しない(できない)理由は、土地関連費用(6憶円)を毎月の運営補助金から回収する事業スキームだからです。運営補助金は定員に連動しています。保育園は営利目的ではありませんが、結果として公費により社会福祉法人の恒久財産(土地)の資産形成に資する事になります。

 

本来、定員設定は事業者の恣意的な資金調達手段(自己資金、借入金の多寡)で決定されるのではなく、計画地の地域事情も考慮した形で整備計画が最終的に調整され、それを受けた形で定員規模を含む整備計画が決定されるべきではないでしょうか。本件は、事前に近隣地域の現地調査や、近隣問題の調整を整えることなく、事業者リスクで土地買収を完了させ、資金調達手段(土地借入金の多寡)如何による事業収支によって定員が算定される事業スキームとなっております。事業の安全性・継続性の観点からも、高額の土地取得を前提する整備事業は、一定の自己資金(既存保育事業の積立金や寄付金等)を加算した事業収支計画により、定員を変動指数として審査しないと、一旦区が採択した事業者提案が地域事情に関係なく硬直的に進められるからです。少なくとも近隣住民の理解が得られていない段階では、近隣との合意等を停止条件とする土地売買契約締結により、事業者リスクを回避させるべきです。